大阪高等裁判所 昭和59年(ラ)29号 決定
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【判旨】
一件記録によると、原裁判所が原裁判所昭和五七年(ケ)第二一七号の本件不動産競売事件につき、昭和五八年二月二五日本件不動産の最低売却価額を金四一四万六〇〇〇円(民事執行規則三九条一項に規定する最低売却価額の一〇分の二の保証の額は、金八二万九二〇〇円)と定め、本件不動産を期間入札の方法により売却することとし、同年一一月四日①入札期間同年一二月一日から同年同月八日まで、②開札期日同年同月一五日午前一〇時、③売却決定期日同年同月二二日午前一〇時等と定めたこと、抗告人は本件不動産を買受ける意思で、同年同月七日、入札書に事件番号を昭和五八年(ケ)第二一七号、入札価額を金四一五万一〇〇〇円と、保証金額を金八三万一〇〇〇円と各記載し、これを「入札書在中、和歌山地方裁判所昭和五七年(ケ)第二一七号、物件番号①、②、開札期日昭和五八年一二月一五日午前一〇時」と記載した封筒に入れ、これを入札保証金振込証明書(振込金額金八三万一〇〇〇円)とともに原裁判所執行官に提出したこと、右入札保証金振込証明書にも事件番号は昭和五七年(ケ)第二一七号と、また開札期日は同年同月一五日と正確に記載されていること、他方本件入札においては、抗告人のほかに、吉川和美一名のみが参加し、その入札価額を金四一四万六〇〇〇円、保証金額を金八二万九二〇〇円としたこと、ところで原裁判所執行官は抗告人の右入札書には事件番号の誤記があるとし、これを開札に加えず、右吉川和美をもつて最高価買受人として期間入札調書を作成し、原裁判所はこれに基づき、右吉川和美を最高価買受申出人として、同年同月二二日本件売却許可決定をしたこと、以上の事実を認めることができる。
しかし右認定事実によれば、抗告人の右入札書に記載された事件番号においては、年度の表示に誤りがあるものの、右入札書を同封した封筒及び入札保証金振込証明書には、いずれも正しい事件番号が記載されており、これを一体として見れば、右入札書における事件番号は、「昭和五七年(ケ)第二一七号」の誤記であつて、右入札書は、右事件の入札書であることが客観的に明確というべく、したがつて右誤記を理由として、右入札書を無効とし、本件事件の入札から除外することは違法といわなければならない。
そうすると抗告人の右入札書を右の理由で無効としたものと認められる原決定は違法であるから、これを取り消し、なお裁判所においてその売却の許否の審理をつくさせるのを相当と認め、本件を原裁判所に差し戻すこととし、主文のとおり決定する。
(小林定人 坂上弘 小林茂雄)